MENU

2015/03/02

第189回国会 予算委員会 平成27年3月2日

いとうが大臣に問う!

議事録

伊東(信)委員

維新の党の伊東信久でございます。

本日は、予算委員会での質問という貴重な機会をいただきまして、日本を少しでも前進させることができるような貴重な時間にしたいと考えております。

私は、現役の外科医なんですけれども、椎間板ヘルニアのレーザー治療という先進医療を専門としております。医療法人の経営者そして現役の医師として、現在の拡大し続ける社会保障費にメスを入れ、社会保障制度改革に取り組んでおります。

さて、毎年一兆円規模で増額する社会保障費が日本の財政を悪化させる一因となっているということは、残念ながら明らかです。社会保障費の重要性をわかった上で、この原因となっていることは明らかということを認識の上での、平成二十七年度予算の支出額九十六・三兆円のうち社会保障費が占める割合は三十一・五兆円の三二・七%、日本財政再建のためにはこの社会保障費の抑制が不可欠。もちろん、アベノミクス、三本目の矢である成長戦略を軌道に乗せ、歳入をふやし、我々維新の党が訴える身を切る改革から、歳出削減を実行することも大切であると考えております。

さて、日本の財政危機が叫ばれていますけれども、欧州でも財政危機の話題がたびたび出ています。現在、欧州では、二〇一〇年に深刻化したギリシャ危機が再燃しておりますけれども、EUの問題児たるギリシャが再び欧州問題の中心になっています。

二〇一〇年―二〇一二年、ギリシャは、EUやIMFから総額で二千四百億ユーロの巨額支援を受ける見返りに、歳出削減、増税などの財政削減に取り組んできました。こうした中でギリシャの国民の中に緊縮疲れが蔓延し、緊縮に反対する野党、急進左派連合がこうした不満の受け皿となり、支持を延ばしているわけです。

EUのユーロの信認を得るために、ユーロ導入国に対し、累積赤字がGDP比六〇%以下の厳しい縛りを受けていることは御存じかと思います。

さて、この縛りをギリシャに当てはめると、累積赤字の対GDP比が一九一・六%。日本にこの縛りを当てはめてみると、累積赤字の対GDP比二三一・九%。日本はユーロの参加どころか、ギリシャ以上に財政状況が悪い。

この中で、麻生大臣が財務金融委員会で答弁されているように、日本とギリシャでは、GDPの規模、日本は経済収支が黒字、ギリシャは赤字、国債の所有権などの違いはありますけれども、もちろん、日本がユーロに参加することはあり得ませんけれども、世界のGDPの二〇%を占めるユーロの参加資格を満たしていない日本の財政状況に関する感想は、まず冒頭、麻生大臣からお聞きしたいのですけれども。

麻生国務大臣

これは伊東先生、御指摘がありましたように、例のGDP比マイナス三%がユーロの加盟条件ですから、日本はそれに当てますと約六・六ぐらいになろうかと思いますので、その意味においては、これは間違いなく非常に大きな問題があろうと存じます、それはもうはっきりしておりますので。

その上で私どもとして、ギリシャとか、ほかはいろいろありますけれども、そういった国に比べて私どもの大きなのは、これらの国々のいわゆる国債というものは全て外貨でやっておられます。日本の場合、自国発行の円という通貨でやっております。自国の通貨で出しておりますので、今、日本の国債発行の中に外国人が買っている比率は一五%ぐらいあろうかと思いますが、いずれも円で買っていただいております。その意味ではギリシャとか他国とは全然違っております。自国通貨の発行というのは、日本とアメリカとイギリスとスイス、この四つだと思いますけれども、そういった意味では状況は全く違うことははっきりしております。

それでもやはり二〇〇%というのは、どう考えてもこれは我々としては真剣にバランスをさせにゃいけませんし、これはほっておきますと、プライマリーバランスがゼロになったところでも、金利だけがことしで十兆一千億ぐらいふえていますので、PBが成ってもまだふえていくことになりますので、その意味では、さらにGDP比で落としていくということを真剣に考えにゃいかぬ。

日本にとって一番大きな問題はこれだと存じます。財政にとりまして一番大きなのはこれだと思います。

伊東(信)委員

おっしゃるとおりに、自国の通貨ということで。解散前に引き続き、またことしも財務金融委員会でお世話になりますので。

そういったことも含めまして、ギリシャは緊縮財政により二〇一四年にプライマリーバランスを黒字化しているわけなんですね。

大臣の今のお話で、やはり危機感は感じてはる、このままではいけないということで、広く国民の皆さんにも、あえて不安をあおるようなことというのはいかがなものかという意見もあるんですけれども、日本においても、平成二十六年六月二十四日の閣議決定において、基礎的財政収支を二〇二〇年までに黒字化という目標を立てておられます。

二月二十日の予算委員会で、我が党の馬場議員が二〇二〇年度までのプライマリーバランスの黒字化について質問させていただいて、安倍総理は、目標の達成は難しいが、デフレから脱却し、経済成長で税収を確保していくとの回答をされました。

今回の質問でプライマリーバランスの云々かんぬんの話を聞くつもりはないんですけれども、大臣の言うように、政府が閣議決定したPBの黒字化は本当に日本にとって採用すべき指標なのかということに対して、ちょっと疑問を持っております。

日本はフローの財政健全化目標にプライマリーバランスの均衡を用いていますけれども、諸外国はより厳しい財政収支の均衡を用いています。プライマリーバランスの黒字化というこの言葉だけを聞くと、やはり千兆円を超える借金が減るような印象を国民の皆さんは覚えてしまうのではないか。

大臣の危機感の認識というのはよくわかりました。ただ、PBの均衡を用いている限り、日本の借金の増減額というのが私には見えてこないんです。日本も、プライマリーバランスの均衡だけでなく、諸外国と同じ財政収支均衡を用いるべきではないかと考えておるんですけれども、麻生大臣、重ねてお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣

これは全く正しい指摘だと存じます。

伊東先生、昔は、最初にこのPBというのを使い始めた二〇〇一年か二年、私、政調会長のころだったと思ったんですが、当時、PBといったら、ポケットベルかプライベートブランドかといっておちょくられたものだった。予算委員会で、何だそれとかいうやじが飛んでいたぐらいだったんです。そういう時代だったんです。今は、基礎的財政収支の意味だということが何となく通じるようになりましたけれども。

御指摘のありましたように、仮に二〇二〇年に、仮にですよ、達成したとしても、ことしのあれを当てはめますと、それでもプライマリーバランス、基礎的財政収支に見合っただけで、いわゆる赤字の分の金利が積み増していきますので、ことしの金利だけを乗っけても、十兆円を超えるほどの金利がまだふえていきますので、これは委員もおっしゃいましたように、一つの目安ではありますけれども、基本的にはこれだけではだめです。

それに、プライマリーバランスを達成した後、さらに、私どもとしては、いわゆる債務残高、帳簿はわかられるんだと思います、帳簿の貸方、借方でいえば、こちらの借方の方に一千兆というんでしたら、こちら側にも一千兆の債権者がおられる計算になるんですが、これは対GDP比をバランスさせないといかぬのであって、対GDP比で、分母になりますGDPの方に対して、分子になります歳出の方をずっと抑制していって、ヨーロッパやら何やらで目指しているところと同じように、私どもとしても、いわゆる分子の側を抑えていく努力を行うことによって、結果として財政収支というものがちゃんときちんとするような方向に。

ゼロになった次の段階として目指さなければならぬ目標はこれであって、これが最初から最終目標ではありません。これは単なる途中の一里塚であって、ことしというか二〇一五年の半分が一里塚、その次がゼロ、その次がさらにということになっていかざるを得ぬ。私どもとしてはそこまでもやらないと、この国の財政というものは安定したもの、安心したものにならぬ、私どもはそう思っております。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

大臣も歳出と歳入のバランスの話をしていただいたわけなんですけれども、当然、出る方を抑える、こういったことも大事なわけでございます。PB、ポケットベルとは懐かしいお話でして、私、救急医をやっていたもので、ずっとポケットベルを持っていたので、ちょっと懐かしい気分になりました。

さて、ここで、今までのお話、もちろん大事なお話であったんですけれども、いかに日本の財政が悪いかというメタファーでございまして、ではどうするんだということを、現役の医師の立場、もしくは経営者でもございますので、そういった立場からお聞きしたいと思います。

ここで、塩崎厚生労働大臣の方に御質問を移らせていただきたいと思います。麻生大臣、余り座ってばかりいると腰を痛めますので。いいクリニックが大阪にありますけれども。

財政健全化に向けて、バイオシミラーの話をお聞きしたいんですけれども、これからの質問の内容にもかかわってきますので、バイオシミラーについて。

塩崎大臣、かつて民主党の柚木議員が質問されたんですけれども、バイオシミラーについて、国民の皆さんに知り得る情報をお伝え願えればと思います。

塩崎国務大臣

正直、バイオシミラーといっても、普通の方は、わからない、初めて聞いたということが多いかと思うわけでございまして、私も正直言ってそんなに詳しくないので、先生の専門家としての知識をきょうは学びたいと思っておりますが。

バイオシミラー、バイオ後続品というのは、国内で既に承認されたバイオテクノロジー応用医薬品と同等、同質の有効性そして安全性を有することが治験によって確認をされている医薬品ということで、いわゆるジェネリックといったときには治験は必要なく認められるものでありますけれども、先生御指摘のこのバイオシミラーは、治験が確認の手続として必要なものでございます。

そもそもバイオテクノロジー応用医薬品というのは、微生物とか細胞が持つたんぱく質をつくる力を利用して生産されるヒト成長ホルモン、インシュリン、抗体などの遺伝子組み換えたんぱく質を有効成分とする医薬品でございまして、一方で、ジェネリック、いわゆる後発医薬品の構造は、単純な化学式であらわされ、先発品と同一の構造であるのに対して、バイオ後続品の方は、この構造は複雑でありまして、先行品と同一のものではないために、後発医薬品と異なり、同等性、同質性を判断するために、先ほど申し上げた治験が必要だというものでございます。

バイオ後続品を含めた後発医薬品全体の数量シェアというのが、現在、平成二十五年の九月調査で四六・九%になっておりまして、これを平成三十年三月末までに六〇%以上とする、こういう目標を掲げておりますロードマップ、正確には後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップを、平成二十五年四月、おととしに策定しているところでございます。

バイオ後続品のみの数量についての目標というのは特に今はございませんけれども、今申し上げたように、ジェネリック全体というか、後発医薬品全体では六〇%という目標を平成三十年の三月末にターゲットとして持っているということでございます。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

今、塩崎大臣がおっしゃったことを繰り返して言うと、二〇一七年度末までにジェネリック医薬品のシェアを六〇%以上と。私も医療の現場を知る者としてジェネリック医薬品の積極的な導入を大歓迎しておりますし、財務金融委員会でも、麻生大臣に御質問したところ、このターゲットを上げていく、そういった答弁もしていただきました。

ジェネリック医薬品が世間をにぎやかしたのは本当に少し前の話でして、おっしゃるとおりに、特許期間が満了後に厚生労働大臣の承認を得て製造販売される医薬品のことです。要するに、開発費が大幅に削減できて、新薬と同じ成分、同等の効き目であれば薬の価格を低く抑えることができるというわけなんです。

少し気になったのは、厚労大臣、塩崎大臣、ジェネリックの中でバイオシミラーの中の数値目標というのは決まっていないがとおっしゃったんですけれども、私の認識では全然別物として捉えています。というのは、大臣、治験が必要と今おっしゃったわけなんですよ。ということは、このターゲットの中に入っていないはずなんですけれども、その点はいかがですか。

塩崎国務大臣

これは先ほど申し上げたように、バイオ後続品も含めた後発医薬品全体の数量シェアを平成三十年、これから三年ですか、の三月末までに六〇%以上にしようという目標をこのロードマップで策定しておりまして、これは、バイオ後続品もこのジェネリック全体の中に入っている、それを含めて六〇%にしようというふうになっていると理解しております。

伊東(信)委員

ありがとうございます。おっしゃることはわかるんです。

この二〇一五年自体、バイオ医薬品の特許が続々と切れ始める年なんですよ。だから、バイオの後続品、バイオシミラーが脚光を浴びるのはまさにことしではないかと私は確信しているわけなんです。

遺伝子組み換えとか細胞培養といった、そういったことをやろうと思えば、かなり大きな施設が要るわけです。今、政府で、再生医療の新しい法律が施行されるということなんですけれども、そういった場合も、細胞培養の施設が要るということで、各企業は今かんかんがくがくとそういった議論なり対策をしているところなんですけれども、日本において、そういったバイオのきちっとした施設がないんですね。研究開発も全部外注でやっています。かつ、世界におけるバイオ医薬品のシェアもほとんどが海外、日本の製品というのはほとんどないに等しいわけです。

バイオの医薬品の後続品で、ジェネリック医薬品と同等に低価格に設定されているこのバイオシミラーが一般的に定着すると、医薬品の負担額は軽くなることは間違いないと確信しているんです。

先ほど、ジェネリック医薬品の中にバイオ後続品を含めて六〇%とおっしゃいましたけれども、やはりさらなる医療費の削減のために、バイオシミラーにも、別建てとしてそのシェアの目標設定というのを決めた方がいいというのが私の質問の趣旨なんですけれども、この点はいかがですか。

塩崎国務大臣

先生御指摘の点は、バイオシミラーだけのシェア目標も設定すべし、こういうことだと思います。

先生御指摘のように、価格差においても、先行品と比べますと、このバイオ後続品の場合には大変大きいわけでございますし、何よりも、治験が必要だということとも関係しますけれども、医療費の効率化の観点から必要だという今の点と、臨床上の必要性に応じて使用するしないの医師の判断が大変重要で、その適切な御判断のもとで使っていただくということが大事だというふうに思います。

平成二十五年に策定されましたロードマップの中には、バイオ後続品だけのシェアというのは今目標値が設定はされておりませんが、今申し上げたように、医療費の効率化の観点、そしてまた適切な医師の判断による使用が医療の発展にもつながるということで大事だということにおいては、そのとおりだと思います。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

医師の判断が必要、特に専門医の判断を必要とするというところで、では、なぜジェネリックとの違いがあるかということで、補足と言うとおこがましいですけれども、がんとか関節リウマチなど、生命への影響が強く、処方される際に必要だからという、そういった意味でおっしゃったと思うんです。

今回のバイオシミラーの話をさせていただいたポイントとしましては、アベノミクスの三本目の矢の成長戦略を、我々維新としてぜひともそれを後押しするのであるのならば、やはり規制緩和なり現行制度の改革が必要だと思うんですね。

今、日本の医療費の負担の中に、高額療養費制度というのがあると思うんです。もちろん、そういった患者さんの負担を減らす意味というのは大事ですし、難病の治療、生命の危険にさらされている患者さんを手厚くするというのは非常に大事なんですけれども、一定額以上の医療費は高額療養費制度によって国が負担してくれるわけです。だから、生物製剤、つまりバイオ医薬品というのはもともとが高額であるために、バイオ後続品、バイオシミラーを使っても、やはりある程度高額療養費制度に頼らざるを得ないわけです。

患者さんにしたら、同じであれば先発の方を使いたい、もしくは、そのこと自体を知らない。患者さんがどちらを使用しても、バイオ医薬品とバイオシミラーどちらにしても、患者負担が変わらないのであれば、この普及というのはなかなか難しいと思うんですね。

国が支出する高額療養費というのは年々増加をしています。十年前は八千億円だったんですけれども、今は二兆円を超えておりまして、ここ十年で倍増しているんですね。

同じ効能、同じ安全性、これを前提にしまして、患者さんの負担が、国民の皆さんの負担が変わらないのであれば、やはり、みずからの懐に関係がないために、患者さん主導でバイオシミラーを普及させることが難しいと思うんですね。

これは、今回厚労委員会で議論される、いわゆる選択療養の話とはまた全然違います、あれは自費ですから。患者サイドから、高額医療費や公費削減に対して、このバイオシミラーを、今言った高額療養費との関係で何かよい方法はないものか、検討というのはいただけないでしょうか。

塩崎国務大臣

これはバイオシミラーの使用促進という意味ですね。

今、高額療養費制度のお話がございました。国が負担をするといっても、これは保険料と税金でございますので、療養費として高額なものについて払わなくてよくなるというメリットは、誰かの負担で賄われているということもまたこれは事実でございまして、医療費そのものには変わりがないわけであります。

したがって、先生がおっしゃるように、バイオシミラーをできるだけ使った方が、医療費全体、つまり国民負担も減り、なおかつ、医療の効果は先生御指摘のようにこの後続品で同じわけでありますから、それは治験でも確認をされた上でバイオシミラーになるわけでありますから、そうなると、できるだけ厚労省としても後発医薬品全体の使用を促進することは、もう皆様方も同じお考えだと思いますけれども、このバイオシミラーについても同じであって、そうなると、何らかのインセンティブがあるべしということでその考えをというお話ではないかなというふうに思うわけであります。

それについてはできる限り、ですから、自然な形でという意味においては、インセンティブを診療報酬を通じてこのバイオシミラーに対して与えるということで、診療報酬において、現在も、バイオ後続品も後発医薬品として取り扱って、後発医薬品の使用促進の中にも入っているということであります。

今、保険適用されているバイオ後続品は四成分ということになっておりますが、これをさらに具体的に申し上げれば、全ての医薬品の採用品目数のうち、後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の割合が高い医療機関については、その割合に応じて入院基本料に加算を行って点数をつけているというインセンティブが一つございます。

もう一つは、DPC対象病院、つまり急性期の入院医療の定額報酬算定制度、これがDPCというわけでありますけれども、その対象病院についても後発医薬品の使用割合に応じた診療報酬上の評価を行っておるところでございまして、いわゆる急性期でありながら一日当たりの包括払いをしているところでもそういったインセンティブをつけているということでございます。

伊東(信)委員

今大臣は、日本のバイオの後発品は四製品しかないとおっしゃいまして、そのこと自体は間違いはないんですけれども、逆に、バイオ医薬品、そもそもの、もともとにあるバイオ医薬品なんですけれども、一九八〇年代には、日本も、世界の市場におくれまいとするために非常に開発が進んだんですよ。だけれども、武田薬品さんも含め、そこから撤退して、結局は、今の現状、ほとんどの市場が海外の製品だったというわけなんですね。

つまり、最初、日本の技術を考えて、日本の企業の体力を、一九八〇年代の体力を考えて、特に抗体の医薬品に関しては日本企業はフロントランナーのポジションであったんですね。だけれども、現実は、商業化の果実を得ることなく、今、後塵となっているわけなんです。

文科省の範囲になるのかもしれないんですけれども、あえて私は、いわゆる死の谷の、デスバレーの解消ということで、常々臨床と研究を一つにつなぎたいということで、塩崎大臣にお尋ねしたいんですけれども、政府の視点で見ると、この研究分野における国としての開発戦略、これの不在が一九八〇年代にはあったと思うんです。では、今度、その治験も、後発品であっても治験が必要であるのならば、やはり国としての開発戦略、これこそ成長戦略になると思うんですけれども、大臣の御所見というのをお教えいただいてよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣

医薬の専門ではない私になかなか難しい御質問でございますけれども、いずれにしても、今、安倍内閣として、医薬品の開発促進というのは大きな政策の柱の一つでございまして、かつて、アメリカのNIHの機能を日本でもということで、新たな機構がこの四月からまたスタートをして研究開発を促進しようということでもあり、先般、いわゆる研究開発税制、少し手直しはしましたけれども、研究開発に対する、国として税で応援をするということに関しての重要性は、何ら基本は変わっていないというふうに思います。

また、先ほど先生御指摘のように、旧薬事法の改正あるいは再生医療の法律も、議員立法そしてまた政府からの提案と、続いて成立をしていることもあり、先生今おっしゃるような、高額ではあるけれども大変大事なバイオの医薬品に、今度、それが確立したところで後続品を開発していくという、その安全性も治験で確認をしながらやるということは大変大事なことであります。

大学の改革も今進めていることでもありますから、こういった、大学を含め日本の中で新しい医薬品が開発されていくということは非常に大事だし、これからの、先生おっしゃった、成長戦略というお話がありましたが、成長戦略の中で医薬品は大変大きな柱でありますし、また、非常に力ももともと日本にはあるところでもございますので、さらに伸ばしていこうということで、いろいろな環境整備を、規制改革を含め、やっているというところではないかというふうに理解をしております。

伊東(信)委員

積極的にお取り組みいただくという決意のほどは十分おうかがいできます。

その上で、あえて御質問したいわけなんですけれども、かつて経産委員会で、僕がそのときの茂木大臣にお尋ねしたのは、要は、研究開発は文科省で、臨床応用は厚労省、製品になるときは経産省ということなんですね。ここがワンストップにならない限り、日本の成長戦略というのは海外には勝てるわけがないということなんです。

FDAの話は出ませんでしたけれども、NIHその他の話も出ましたけれども、そのときに、私はそのとき経産委員会だったので、経産大臣、これをリードしてくれるのは経産大臣ですねと言ったら、はいとおっしゃったんですけれども、ここはやはり、現役医師の立場で、心情的には、臨床ということで厚労大臣の塩崎大臣にリードしていって、死の谷、デスバレーを解消していただきたいんですけれども、ワンストップの各省庁間の横串のことに関して、厚労大臣はどのように捉えられていますでしょうか。

塩崎国務大臣

先生は死の谷というお言葉をお持ち出しになられましたけれども、特にベンチャー、新しい企業をつくっていくときの大事なことは、このベンチャー、エコシステムのように、切れ目のない支援が官民を問わず必ずつながっていくということで新しいものが生み出され、それが育って、またそれが実を結び、種を落とし、そしてまたそれが回っていくという、エコシステムのようなものが大事だというふうに私は思っておりますし、我が党の中での成長戦略の際にも、ベンチャーの大きな柱として、切れ目のない支援が大事だと。

これは、官だけでやろうと思っても、それは難しい話であって、シリコンバレーなんかは、官の力はほとんどなくて、民の力でエコシステムができ上がっているというふうに私は理解をしています。

したがって、官も有効に機能できるときにはやはりやらなきゃいけないので、そこで先生が今おっしゃった横の連携という、どこかの一カ所だけで全部エコシステムを回すということは多分私は不可能であろうと思いますので、横の連携というのが極めて大事で、これがうまくいくとともに、民間も自然な形で官とも一緒になってエコシステムを構成していくということが大事なので、そこに配慮をしていくことが、我々としても、成長戦略としても、よく考えていかなきゃいけません。

これから、地方創生ということで、地方で新しいベンチャーを生み出すためにも、そういうようなシステムをつくっていくことが大事で、その際の官における横の連携、これは極めて大事だというふうに思います。

伊東(信)委員

産官学一体の話をしていただきまして、あえて、ちょっと産官学の方はしなかったんですね。私自身、今、大阪大学の臨床医工学の准教授もやっていまして、その産官学の話は各アカデミアにおいて取り組んでいる、その際に、官に持ち込んだときの各省庁間のことを申し上げたかったわけなんです。このことは、以前、麻生大臣は、そのことを解消していかなければいけないという答弁もいただいたんですけれども。

本当に、繰り返しになりますけれども、財政健全化の柱の一つに、医療費の削減があると思います。この二〇一五年、バイオ医薬品の特許が切れていきますので、まさにバイオシミラーの元年になるのではないかと私も捉えております。

医療費の削減の中心を担う可能性があるのがバイオシミラーの普及であると思いますので、この普及のために、医療費削減のために、党派を超えましてバイオシミラーの議連も今期立ち上げる予定ですので、数少ない医療現場を知る現役の医師の立場から、社会保障費の抑制や、そして財政の健全化に対し積極的に提言をして、日本のために、少しでも前進できるように頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

大島委員長

これにて伊東君の質疑は終了いたしました。