第189回国会 財務金融委員会 平成27年6月10日

P6100013

議事録

伊東(信)委員

維新の党の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

本日は、黒田総裁にお越しいただいておりますので、前半、冒頭でバーゼルの新規制案について、後半は、厚労省が先日まとめた社会保障費抑制政策について麻生大臣にお尋ねさせていただきます。


さて、きのうの日経新聞の朝刊に、銀行の国債保有に対する新規制の結論を来年に持ち越しという記事が出ておりました。バーゼル銀行監督委員会は二つの新たな規制案を示し、一つは金利上昇リスクを数値基準ではかる案で、こちらは銀行の国債保有割合が高い日本と米国は反対しており、二つ目は金融当局に行政処分を含む監督権限を与えるというものです。

各国政府が発行する国債は自己資本比率規制上のリスクウエートはゼロパーとされておりまして、デフォルトする可能性が全くないものとされてきましたけれども、ギリシャを発端とするユーロ危機を契機に国債の信用に疑問符がつき始めました。もちろん、国債は格付されているわけですから、各国により程度は違えど、国債には一定のリスクが存在することは明らかです。リーマン・ショックの場合、サブプライム問題が引き起こしたものでありますけれども、振り返ってみますと、サブプライムローンが入った金融商品は格付会社からトリプルAの評価を受けたにもかかわらず、米国の住宅バブル崩壊とともにそれらの金融商品の価値は全くなくなりました。

ギリシャの話を出しましたのでサブプライムの例を出しましたけれども、もちろん私は、日本の国債とサブプライムの金融商品を一緒とは考えておりません。ただ、世の中でどんなに評価されていても一定のリスクが潜んでいることを訴えたいわけでございまして、もしバーゼル銀行監督委員会の一つ目の案が採用され、国債がリスク資産に転じ、つまりリスクウエートの掛け目がゼロパーでなくなった場合、日本におけるいわゆるマグニチュードは、例えていいのかどうかわかりませんけれども、はかり知れないと思います。

邦銀の国債保有比率は下がっているといえども、邦銀が所有する日本国債は百二十兆円を超えております。バーゼル銀行監督委員会の一つ目の案が採用された場合の私が最も心配しているところは、やはり日本銀行の出口戦略にあります。仮に一つ目の案が採用されたからといってすぐどうこうなるというものでもありませんけれども、異次元の金融緩和の出口戦略に影響は少なからず出てくるのではないかと思います。出口から出ようとしても、邦銀は国債引き受けの受け皿にはなれないと考えるからです。

今ここで黒田総裁に出口戦略の時期についてお尋ねするつもりはありませんけれども、仮にバーゼル銀行監督委員会の一つ目の案が採用された場合、日銀の出口戦略そのものに影響を与えるのではないかと思うんです。まず、総裁のお考えをお聞かせください。

黒田参考人 御指摘のとおり、今般、バーゼル銀行監督委員会の市中協議文書では、銀行勘定の金利リスクについて二つの案が両論併記で示されております。これは、あくまでも金利リスク、マーケットリスクの問題であります。それと全く別に、信用リスク、国債のソブリンリスクについてどう考えるかという話がございます。

この両者は全く別でございまして、これも先ほど申し上げたように、前者が今回、これは金利リスク全体ですので、国債と限らずさまざまな金融資産について銀行勘定の金利リスクをどのように計算するかというものでありまして、バーゼル委員会のメンバーを中心にいろいろ議論した上で、両論併記で市中協議にかかっているということであります。

ソブリンリスク自体、国債の信用リスクにつきましては、これも先ほど申し上げたとおり、バーゼル委員会で慎重に包括的にゆっくりと議論するということで、まだ議論も始まっておりませんので、これがどうこうということは何とも申し上げられません。

また、前者の金利リスクの市中協議文書も、二つの案が示されて市中協議で民間の金融機関の意見を伺っているというところでありまして、具体的な方向性が固まっているわけでは全くございません。

したがいまして、現時点で金融政策に与える影響についてコメントできる段階ではないということでございます。

伊東(信)委員 現時点でのお答えはそうなると予想はしていたんですけれども、あえて質問させていただきました。ただ、それに対するお考えというか準備というのはどのようにお考えなのかというのをお聞きしたかったわけなんです、もうやりとりするつもりはないんですけれども。

ここで、麻生大臣は、バーゼル銀行監督委員会の一つ目の案が採用された場合、日銀の出口戦略そのものに影響を与えるのではないかという考えに対してどうお考えか、お聞かせください。

麻生国務大臣 今、黒田総裁の方からお答えがあっておりますように、バーゼル委員会のいわゆる協議については、現時点でパブコメ、パブリックコメントに付されたばかりのものでありまして、まだ規制の案も何一つ絞ったわけじゃなくて、両論が併記されて、どっちという話の段階でもあります。したがって、仮に一つの案が採用された場合にといったような、影響についての仮定のお尋ねということになるんだと思いますが、これに対してはちょっとお答えが非常にしにくいところでありますので、差し控えさせていただきたいと存じます。

伊東(信)委員 了解しました。

それでは、ここからは財政健全化に対しての質疑に移ります。

黒田総裁、ありがとうございました。

五月二十六日に厚生労働省がまとめた社会保障費の抑制策が経済財政諮問会議に提出されました。残念ながら、厚労省が示した案というのは抜本的改革とはほど遠いもので、社会保障費抑制とはほど遠いものと私は感じました。

麻生大臣と同様に、私も社会保障費の削減ありきとは考えておりません。しかしながら、経済財政諮問会議の民間議員の提言の中に、後発薬の普及率、ジェネリックの普及率を二〇一七年度に八〇%から九〇%、新薬と後発薬との差額を自己負担にするというものがありました。さすが、その中のメンバーである新浪社長を初めとして、民間感覚を持った、しがらみを感じない、すばらしい提言だと私は感じております。

まさしくこういった提言が実現できて初めて麻生大臣の掲げる財政健全化につながってくるのではないかと感じておるんですけれども、しかしながら、残念ながら、厚労委員会ではさんざん喚起してきたんですけれども、厚労省はこのような提言には後ろ向きのようでした。

新聞報道によると、麻生財務大臣、後発薬の普及率を二〇一七年度に八〇から九〇%、新薬と後発薬との差額を自己負担にするという提言の採用を求めたとありますけれども、麻生大臣のお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 後発医薬品、いわゆる通称ジェネリックというものの使用の範囲ですけれども、これはお医者の方が詳しいんでしょうけれども、効果が全く変わらぬものが片一方は安くて片一方は高い、何が違うかといったら、こっちは先行薬品で名前が知れておる、こっちは後発薬品で余り名前が知られていないという以外は医学的な効果は全く同じということになっておるという前提になっておるんですけれども、こういうものはいわゆる治療の効果というのを全く犠牲としないで、そして国民の負担が軽くなる、税金も安くなるという話になりますので、極めて効果的な施策なんじゃないのか。

日本ではこの普及率が約四〇%ぐらいなんですが、これをやると新薬の開発に回す金がどうたらとかよく言う話がありますが、新薬の開発を一番やっておりますのは多分アメリカなんですが、アメリカはジェネリックの普及率は多分九〇%を超えていると思っております。日本はその半分以下の四〇%ですから、これは理屈としては、全然理屈が立っていないんじゃないかな、私はそう思っております。

これはゆっくり六〇にするとか七〇にするとか言わずに、さっさと、ほかのヨーロッパの国でも七〇、八〇になっているところは幾つもありますので、我々としては、なるべく早く比率を高めるということは、財政という面で、支出の方からいきますと、これは全然国民の医療効果を犠牲にしないでできるものだと思っておりますので、私どもとしては、この使用割合の新目標の設定というのはぜひ早急に高めたものにするべきだという諮問会議の御意見に基本的に賛成をいたしております。

これは関係大臣、民間議員等々でいろいろな議論を行っておるんですが、経済財政諮問会議において今後さらにどういったようなものが現実的に可能か等々いろいろな話が出てくるんだと思いますので、引き続き議論をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。大臣から丁寧な御説明をいただきました。

厚労省にお尋ねしたいんですけれども、後発薬の普及率を二〇一七年度八〇%、九〇%という提言、新薬と後発薬との差額を自己負担にするという提言に対して消極姿勢と感じているんですけれども、なぜそのように消極姿勢なのかをお教えください。

福島政府参考人 お答えいたします。

平成二十五年の四月に策定しておりました後発医薬品についての数量シェア目標ですけれども、これは平成二十九年、二〇一七年度末で数量シェア六〇%以上という目標設定を決定して、使用促進を図ってきたところでございます。

先ほど先生の方から御紹介がありましたように、五月二十六日の経済財政諮問会議におきまして、後発医薬品の使用促進をさらに強化するために、達成時期を一年前倒しして平成二十八年、二〇一六年度末までに六〇%以上、さらに平成三十二年、二〇二〇年度末までに八〇%以上、こういう新目標を設定することを厚生労働省としても提案したところでございます。

この目標の設定に当たりましては、後発医薬品の安定供給や品質の確保についても考慮する必要があるということで、企業におきます生産体制強化や設備投資の状況を踏まえて、この目標値を設定、提案したところでございます。

一方で、御指摘のような御提案もございますので、今後の諮問会議の場で目標についても御議論いただけるものと承知しております。

伊東(信)委員 効率と安全性に関して、厚労省の方に責任がかかってくるのはわかるんですけれども、なぜ八〇、九〇パーという提言に対して消極的なのか。安全性と有効性の確立の時期というのはよくわかるんですけれども、ちょっと残念ながら腑に落ちないというところが私の感想でございます。

ジェネリック医薬品の使用促進が前提であるんですけれども、ジェネリック医薬品がこのように数値設定され、目標を前倒しにするという議論がされること自体は喜ばしいことだと思います。

もうさんざん委員会で申し上げていますバイオ医薬品の後続品であるバイオシミラー、このバイオシミラーの使用促進に関しまして、バイオ医薬品が高額なために、バイオ医薬品を使用している患者さんの大半は高額医療制度や公費助成制度を使っております。ですので、先ほどの民間議員の提言していた新薬と後発薬の差額を自己負担にするのを採用したとしても、自己負担額は変わりません。ですので、バイオシミラーの使用促進はなかなか進んでいないのが現状であります。

厚労省は、二〇一七年度末までに後発医薬品のシェアを六〇%以上とする、一年前倒しを二〇一六年度末までに達成するとしています。民間議員の提言に三年おくれでありますけれども、二〇二〇年度までに後発医薬品の普及率を八〇%以上にするとの目標も策定しております。この後発医薬品の普及率八〇%以上という中にバイオシミラーは含まれているのか、もう一度お尋ねしたいと思いまして、お聞きします。

福島政府参考人 お答えいたします。

現在の目標値にもバイオシミラーは含まれておりますし、また、先般、経済諮問会議におきまして提案した新目標におきましても、バイオシミラーはこの数値の中に含まれているということでございます。

伊東(信)委員 済みません、バイオシミラーが全体に含まれているのではなくて、バイオシミラーに関して、バイオシミラー単独で数値目標を設定すべきだというのが私の趣旨なんですけれども、単独で数値目標というのは設定されておるのでしょうか。

福島政府参考人 これは後発医薬品全体の数量シェアということでございますから、バイオシミラー単独ではございませんで、後発医薬品の全体の中、分母の中にもバイオシミラーが含まれる、あるいは分子にもバイオシミラーが含まれる、そういうことでございます。

伊東(信)委員 しつこいようですけれども、バイオシミラーに関しては、バイオシミラー単独で数値目標を設定すべきだと私は考えております。

通告はしていないんですけれども、社会保障費抑制という観点からのバイオシミラー促進に関して、数値目標を単独でした方がいいのではないかという考えにおきまして、麻生大臣のお考えをお聞かせください。

もう一度言います。済みません。

ジェネリック八〇%の目標はあるけれども、その中に全体としてバイオシミラーは含まれている。しかしながら、私は、バイオシミラー単独で八〇%というような数値目標を設定すべきだと考えております。厚労省からのお考えでは、バイオシミラー単独で数値目標は設定していない。ただ、社会保障費抑制という観点からは、バイオシミラー八〇%の数値目標を設定すべきだと考えております。

通告はしておりませんのでまことに申しわけないですけれども、麻生大臣のお考えはいかがでしょうかということです。

麻生国務大臣 これはまだきちっと決まっているわけではないので、ちょっと今この場でうかつなことは言えませんので、厚生労働省とよく協議をした上で改めて御答弁申し上げます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

通告をしていないことに関して本当に申しわけなく思っておりますが、もう一点、けさの日経新聞だったので、社会保障費抑制という観点からお聞きしたいんです。

たばこ、酒、砂糖への課税強化というニュースが出ておりまして、保健医療二〇三五策定懇談会がまとめたものであり、近日中に厚労大臣へ提出するとありました。

報道を見る限りですけれども、厚労省は財務省と調整を図りたいなどと、この施策に関しては前向きのように感じました。国民の病気を予防するために、健康を損なう可能性があるたばこや酒、砂糖の課税強化を求めた。日本では、たばこ税や酒税はあるが、砂糖だけに関して税はございません。ビールだったら一缶七十七円、たばこ一本だったら十二円というふうに課税されていますけれども、砂糖は消費税のみです。

確かに健康対策という観点はありますけれども、健康対策という、まるで水戸黄門の印籠のようなものを掲げれば何か世間の理解も得られやすいように感じるんですけれども、日経新聞にも「健康増進へ課税」といったような観点で書いていました。しかし、安易に課税に走るのではなく、それよりもっと削れる部分がたくさんあるように感じます。国民に痛みを強いるまでもなく社会保障費を抑制できる方法があるのに、このように安易に増税に走ることに対する麻生大臣の感想をお聞かせください。

麻生国務大臣 社会保障の中で、これは先生の方がお詳しいんだと思いますが、予防という観点からいきますと、七十五歳以上で病気にかからない、病気にかかる方の比率は七十五歳を過ぎると急激に上がってくるんですが、これにかなり地域性があるというのは御存じかと思います。最近少し違いますが、昔は、一人当たりの医療費が一番かからないのは長野県だった。今は、無体なんかがふえましたので、不健康なのがふえてきたせいもあるんでしょうけれども、昔ほどじゃなくて、今は別の県が一番安くなっているんだと思います。逆に一番かかるのは福岡県だったので、それで記憶があるんです。

医療費がかからない、予防的によく歩いているとか健康とかいう方の払っている税金でいいかげんな人たちの医療費を全部面倒見ておることになるのはおかしいじゃないか、昔からこの議論はあります。体がもともと悪い方とか、病気でとか、けがとか、そういうのは別にして、いわゆる不摂生からなってきているのはおかしいじゃないかというので何とかしろというのは、私が当選した三十年ぐらい前からよく聞かされた話なんです。

それに対して、今、たばこの話が出てきておりますが、たばこの税金も上げるべしという話は、政調会長でしたが、十二年ぐらい前にたばこを上げたときがあるんです。総じて上げるべしという方もいらっしゃるんですが、たばこを吸っておられる方というのは私が当選したころは成人男子の七八%ぐらいだったんですが、今はもう四〇%を切って、三十何%まで減っております。では、肺がんが減ったかといえば、肺がんは約三倍にふえております。たばこを減らしたからといって肺がんが減ったかというのは全然立証できない数字になっておりますので、本当に効果があるのかというのはなかなか難しい御意見で、これは反論されるとなかなか私ども言いにくいところなんですが、いずれにしても嗜好品でもありますので。

お酒とたばこについての税金というのは、税収からいきますと、たばこだけで二兆七、八千億あると思います。そのうち半分が地方税で、一兆四千億ぐらい地方に行きます。これは結構地方にしては大きな財源の一つでもありますので、これを全部やめちゃうというのはなかなか簡単にはいかぬ話でもありますので、だったら税金を上げろというお話なんですけれども、どの程度までかというのは千差万別、意見が分かれるところなので、ちょっとこの場で即答できるような種類のものではございません。その点は御理解いただければと存じます。

伊東(信)委員 まことにありがとうございます、通告もしていないのに御丁寧にお答えいただきまして。

私の申し上げたいことは、国民の安全、健康、これは国として図るものであると。しかしながら、現場として社会保障費を、私がいてる医療の現場でもやはり無駄をまだまだ削れる部分があるのではないかということの提言だと理解していただければ幸いです。

今週末、静岡県の浜松市で日本ジェネリック医薬品学会の学術大会が行われまして、またそこへ行ってヒアリングして、意見交換してまいります。予算委員会、厚生労働委員会、そして財務金融委員会にてバイオシミラーに関する質疑を行いましたので、次は経済財政諮問会議の民間議員の方に私からバイオシミラーの陳情をしたいと思っております。

財政健全化に対する思いは与党も野党も同じなので、これからも財政健全化につながるような提言を財務金融委員会にしていきたいと思います。

本日は、ありがとうございました。