大阪都構想否決 ~住民投票から学ぶべきこと~

“大阪都構想”が否決されてから3週間が経ちました。新聞や週刊誌等のマスメディアではいまだに大阪都構想の否決について、そして橋下大阪市長の進退について論じる記事が後を絶ちません。70万票前後の戦いの中で、694,844票対705,585票とわずか10,741票の差で大阪都構想は否決されてしまいました。日本の選挙史上稀にみる大接戦だったことはまちがいないでしょう。

“大阪都構想”は大阪維新の会の一丁目一番地の政策であり、これを実現するために大阪維新の会が生まれたといっても過言ではありません。都構想否決直後の会見で橋下市長は、晴れやかな表情で「政治家冥利に尽きる。いろいろな活動をさせてもらいまして本当にありがたく思っております」と発言しておりました。橋下市長は悔しい気持ちで一杯でしたでしょうが、住民投票の実現までこぎつけることができ、さらに694,844票を獲得できたことは住民の地方政治への参画といった観点から鑑みると、日本の地方自治に一石を投じたと感じているようで、私も同じように感じております。日本の大半の地方自治体が借金漬けの中で、大阪市の特にひどい状況、言い換えるならば末期的状況を「如何にして財政再建を行い、健全化していくか」ということを橋下市長と松井府知事は取り組んできました。しかし、長年にわたって積み重ねてきた“二重行政”の弊害はそう簡単に取り払えるものでなく、さらに都構想反対派は“二重行政は存在しない”と訴えていたことからわかるように、二重行政の状態を平常な状態と認識してしまうくらいまで、病巣は広がっていたのです。

一方で、我々の方にも反省しなくてはならない点があります。一番の反省点は大阪市民の皆様が口々にしていた“都構想いうてもようわからん”という一言に凝縮されています。完全に我々の説明不足でした。もっときめ細かく丁寧に説明を何度も繰り返すべきでしたが、十分にできておりませんでした。また、“性急すぎる”という批判もありましたが、確かに説明不足という結果からわかるように、性急過ぎたのかもしれません。ただ、ご理解いただきたいのは、末期的な大阪市の財政状況を改善するため、そして、財政悪化の諸悪の根源たる二重行政を一刻も早く撲滅するためにはスピード感も重要だったのです。

“大阪都構想”否決により、橋下大阪維新の会代表の進退が注目されております。橋下市長は今年の11月で大阪市長を任期満了で引退し、政界を引退すると発言しました。憲政史上、国政政党をつくってからここまでスピーディーに、そして、国政に対して一定の影響力を持った橋下徹という政治家は、非常に稀有な存在であり、また、今後も“日本の為に”働いてほしい政治家であると私は思います。カリスマ性、演説力、突破力は歴代の政治家の中でも群を抜いております。このまま橋下市長が政界を引退することは、国益を損なうことにつながります。維新の党や野党再編などに関係なく、“政治家・橋下徹”を殺してはいけません。私は自らが国政に転じる前から橋下市長とは交友があったので、なおさら強く感じております。

ここまで注目され、そして、運動が盛んだった住民投票は過去に例がありません。だからこそ、住民投票の欠陥も見えてきました。住民投票は公職選挙法の縛りを受けないので、“何でもあり”の運動になっておりました。広報物への規制、誹謗中傷、投票日の行動等をここで詳しく論じるつもりはありませんが、モラルを欠いた選挙運動が蔓延していたことは事実です。ここで大切なことは、遠くない将来に行われるであろう憲法改正のための“国民投票”の時に、今回の反省を活かさなくてはならないということです。日本の未来を決める“国民投票”が何でもありの運動になってはいけません。この度の住民投票であぶり出された住民投票の欠陥を大いに学び、来るべく“国民投票”に活かすことが大切です。