第189回国会 財務金融委員会 平成27年4月10日

議事録

伊東(信)委員

維新の党の伊東信久です。

本日は、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に関して、三十分間という短い時間でございますが、質問させていただきます。

安心してください。本日は、バイオシミラーを初めとする社会保障制度でなく、純粋に政投銀に関する質疑をさせていただきます。

ただ、一点だけ御報告なんですけれども、三月二十六日にバイオシミラー使用促進議連が無事に立ち上がり、何と河村建夫先生にもお越しいただき、最高顧問に就任していただきました。

バイオシミラーの使用促進は必ずや麻生大臣の掲げる財政再建に寄与しますので、どうかバイオシミラーへの興味、そして使用促進への御理解を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

質問に移ります。

ちょうど二週間前の報道ステーションにおきまして古賀茂明さんが、キャスターの古舘伊知郎さんと激しい議論を行い、爆弾発言を連発しておりました。ほんの一瞬ですが、本日議論されております株式会社日本政策投資銀行、いわゆる政投銀と、商工組合中央金庫、いわゆる商工中金についてフリップも出ておりました。そこには、政府系金庫機関トップに天下りが続々と復活、政投銀と商工中金の完全民営化を先送りとありました。

ただ、実際見てみますと、政投銀の現在のトップは橋本徹氏、うちの代表と同じ名前なんですけれども、この方は富士銀行の出身でございます。その前は室伏稔氏で、こちらは伊藤忠商事出身でありますので、実は政投銀のトップは二代続けて民間出身なので、古賀氏が指摘しておりました、トップに官僚が天下りというのは必ずしも合っていないような気がしますが、政投銀は財務省から、商工中金は経産省から天下りがあるのは事実であります。

一九九九年に日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合されて旧日本政策投資銀行が設立されましたが、二〇〇五年に当時の小泉内閣により完全民営化する方針が決定され、二〇〇七年には政策投資銀行法が成立して、二〇一五年をめどに政府が保有する株式を売却することが決定しておりました。

しかしながら、先ほど質疑、答弁が繰り返されていましたけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックと二〇一一年の東北大震災などの日本の危機的な状況に対して民間の金融機関が対応できないといった理由から、政府保有株式の売却の延長、すなわち完全民営化が二度にわたり延期され、このたびは三度目の延期が決定されたんです。

ここでまずお尋ねしたいのは、株式会社日本政策投資銀行は政府系の金融機関として日本の発展に寄与してきましたが、改めて株式会社日本政策投資銀行の役割についてお教えください。

菅原副大臣

昭和二十六年に日本開発銀行から始まった政投銀であります。今、伊東先生がお話しのとおりの歴史、経緯を踏まえた中で、戦後の復興から高度成長、安定成長、この間には金融の再編、石油ショック、円高不況、あるいは今お話があったように、阪神・淡路大震災、東日本大震災、そしてまたリーマン・ショック等々、さまざまな金融経済史を経過しながら、そこで国家的な危機に対応する、こうした政府金融としての役割を担ってきたわけであります。

いわば投融資一体型の金融ノウハウ、そして、これまでの経験を経て、その目きき能力を生かして、企業が新事業開拓などの成長に向けた大胆な取り組みを行う際に必要な資本性資金の供給、そして我が国経済の基盤となる電力あるいは鉄道、こうしたインフラ整備のための長期の資金供給、そして企業が安心して活動できるための必須の環境整備であるいわゆる危機時の資金供給、こうしたことを通じまして日本経済の重要な役割を担ってきた、このような役割を果たしていると考えております。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

菅原副大臣の、目ききの能力が政策投資銀行にあるんだということと、危機的状況に対応していくんだということは今までのお話の中でもある程度理解しているつもりなんですけれども、これに関連しまして、今回のポイントでもあるんですけれども、政投銀と民間の金融機関とのかかわりについて、政府の方から教えてください。

迫田政府参考人

お答えをいたします。

政投銀の役割につきましては、ただいま副大臣から申し上げたとおりで尽きておるわけでございますけれども、民間金融機関との関係ということで申し上げますと、昨年開催されました政府の成長資金の供給促進に関する検討会において、民間金融機関から、民間のみによる対応は困難であるとして、政投銀に期待する役割というものとちょうどオーバーラップをするようなものでございます。それは、一言で申し上げますと、民間に対する補完的な機能ということになるわけでございます。

もう少し具体的に申し上げますと、政投銀におきましては、現行の中期経営計画でも、金融機関等との適切なリスクシェアというふうなことで、民間金融機関との協業を基本的なビジネスモデルにしておるわけでございまして、例えば民間金融機関では供給が難しい出資あるいはメザニンといった資本性資金を供給することによって民間金融機関の融資を呼び水となって引き出す、こういう一つの民間との関係もございます。

あるいは、企業の事業再編におきますノンコア事業の切り出しといったようなもの、これは大変仕組み方が難しい案件が多いわけでございますけれども、ここに、これまでの金融ノウハウを生かしまして適切な金融スキームを構築することで民間金融機関の参加を引き出す、こういった民間金融機関との関係もあるわけでございます。

いずれにいたしましても、多くの民間金融機関と連携をしながら実績を上げてきているということでございます。

伊東(信)委員

補完機能に関しての御答弁もありましたけれども、このことについても御質問していきたいわけなんです。

先ほどから御答弁がありますように、政投銀は、民間金融機関ではできないようなリスクの大きな融資ができると。具体的な事例としましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故後に、東京電力の資金繰りが悪化したときに政投銀が巨額な融資を実行したり、泊原発の稼働停止が長引き、北海道電力の経営が悪化したときは北海道電力の優先株を引き受けたりと、民間金融機関では実現できなかったであろう投資を実現しております。

しかし、ややもすれば、政投銀や商工中金の存在が民間金融機関の業務を圧迫してしまう、いわゆる民業圧迫が起きているという指摘もございます。政府系の金融機関の存在が民間金融機関の範囲を侵食してしまうという側面があり、二〇〇五年の小泉政権時に、民間でできることは民間でという合い言葉のもとで政投銀の完全民営化が決まったわけですね。

民業圧迫防止の観点から、附則第二条の二十一関係の適正な競争関係の確保において、他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないこととすると明記されております。

私も、医療法人眞愛会というところの理事長でありまして、経営する立場であります。その医療法人の経営者である私の観点からすると、やはり本法案の一番の肝はここにあると考えております。絶対に民業圧迫というのはあってはならないことなんですね。

現実、医療法人眞愛会において伊東くりにっくというクリニックを立ち上げたんですけれども、その際は、民間の金融機関に助けてもらいまして、育てていただきました。

政投銀や商工中金を初めとする政府系の金融機関の意義は認めております。しかしながら、政府系の金融機関が民間の金融機関の領域といいましょうか守備範囲を侵してはならないと考えております。

本年の一月二十六日に行われました第十五回の行政改革推進会議において提出されました財務省の資料の中で、「民業圧迫を招かないための対応策」、「民間金融機関・有識者によるチェック」の項目で、「政投銀は、民間金融機関の代表者を含む外部有識者の参加の下、適正な競争関係や民業補完の状況についての検証等を行う機関を同行内に設置し、その結果を事業計画及び事業報告書へ適正に反映する。」とありますけれども、本改正案を検証させていただきましたところ、私にはその対応策が盛り込まれていないように感じます。

先ほど政府からの御答弁に補完機能の話もありましたけれども、ここで麻生大臣にお尋ねしたいのは、民間金融機関の代表者を含む外部有識者の参加のもと、適正な競争関係や民業補完の状況について検証などを行う機関の設置は考えておられるんでしょうか。教えていただければ幸いです。

麻生国務大臣

伊東先生、まず、政策投資銀行、いわゆる政投銀につきまして、今、現状で民業を圧迫しているという状況にはない、基本的にそう思っております。

また、今回の改正案でも、民間の対応が十分でない分野を補完する、例えば危機に当たってのとかいうことが主であって、基本的には民業圧迫につながるものではない、まず基本的にそう思っております。

その上で、これは念のため取り組みとしてきちんとしておかないといかぬということになって、かつて開発銀行と言われたころ、昔、昭和二十年代はこれは復興銀行と言ったと記憶するんですけれども、復興銀行が開発銀行になって、今はこの銀行に名前が変わっておりますけれども、当時は、土地の開発なんかを派手にやっていたときには結構いろいろあったということもありましたので、民間との適正な競争関係、いわゆるイコールフッティングとかいろいろな言い方がありますけれども、配慮義務を確保する規定というものや、成長資金の供給業務について、民業補完の義務を果たすということを課しております。

これらの法律上の義務を受けて、具体的な取り組みとしては、民間金融機関の代表者を含みます外部有識者の参加のもとで、適正な競争関係や民業補完といったような状況などを検証する機関というものを政投銀内に設置するなどの対応をとることにいたしておるのがこの内容であります。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

本法案におきます特定投資業務とか危機対応業務の重要性というのはよく理解しているつもりです。政投銀が政府系の金融機関として活躍する場面がまだまだあるということも理解しております。

ただ、繰り返しになりますけれども、大臣は、政投銀が民間金融機関の業務範囲を現在は侵していない、民業圧迫というのはないとおっしゃいました。業務範囲を妨害してはいけない、この前提は共通だと思うんですけれども、政投銀は、本店を含む十一カ所支店がありまして、八カ所の国内事務所で運営されているようですが、日本には四十七都道府県あるので、国民の皆さんはもちろんのこと、中小企業者にもやはりなかなかなじみがあるものではないように思われます。

一方で、同じ政府系金融機関である商工中金は百店舗あるわけですね。数においてもかなりの開きがあると思うんですけれども、私の周りの経営者の中でも、商工中金を利用しているという話を聞きます。その商工中金を利用している経営者のお話の中で、これはややもすれば民業圧迫に該当するのではないかなというお話もありましたので、それを挙げさせていただきます。

ものづくり補助金や省エネ補助金の認定支援機関を商工中金にしてくれれば、補助金を受けられる採択率が高くなりますよ、企画の補助率が三分の二の場合、残りの三分の一の資金は商工中金で用意させてもらいますと。別の機会のようですけれども、商工中金の方から電話があって、民融機関よりははるかに安い金利を提示されると。これは、経営者にとっては金利が安いのはありがたい話なんですけれども、やはり疑問に思って、どうして当社はそのような案内をしてくれるのかと聞いたところ、お得意様にだけ破格の条件を出しておりますとの回答だったそうです。

なぜ破格の条件を出せるのかというと、商工中金は、一定の割合で財政投融資で資金調達を行っており、財投は国債の一種である財投債などが財源になっているため、貸出金利が割安になるのは当たり前ですと。その経営者は、確かに魅力的な提案ですけれども、地域のために頑張っており、いつもおつき合いしている信用金庫に商工中金からの提案を伝えるわけですね。こんな条件があったから、同じ条件ならばその信用金庫から借りかえたい旨を伝えたところ、答えとしては、その条件では全く太刀打ちできない、悔しいですけれども商工中金から借りた方がいいとの返答があったそうです。

これは商工中金の民間金融、民業圧迫に当たると思うんですけれども、政投銀は、先ほど述べましたように店舗数が少ないのでそもそもの借り入れの話も聞くことはありませんが、勘ぐってしまうわけです。耳に入っていないだけで、実は同じようなことが起きているのではないかとも思ってしまうんです。

ここで、政府系の金融機関である政投銀と商工中金において、民業圧迫というのはどのような状況である、どのように捉えているかということを政府に教えてもらいたいと思います。

迫田政府参考人

お答えをいたします。

政投銀の民業圧迫との関係で申し上げますと、一言で申し上げますと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、民業圧迫といったような状況にはなっておらないのではないかというふうに認識をいたしております。

といいますのも、昨年秋に開催をされました政府の検討会におきましても、民間金融機関からのヒアリングに際して、政投銀が民業圧迫を生じさせているというような指摘はなかったわけでございます。

このため、基本的に、そもそも、先ほど申し上げたとおり、金融機関等との適切なリスクシェアといったようなことで、民間金融機関との協業を基本的なビジネスモデルにしておりますので、政投銀において、政府関係機関としての地位を悪用するとか、あるいは不当な競争によって民業圧迫を生じさせているといったようなことはないというふうに考えているところでございます。

一つは、政投銀の財務構造ということで申し上げれば、政投銀は、今、全調達額のうち半分以上が社債あるいは民間金融機関からの借入金ということで調達をいたしておる状況にございます。その調達した資金にみずからの利益を上乗せした上で投融資を行っているというわけでございまして、一方、預金、大変調達コストが低いわけでございますけれども、この預金で資金調達を行っている民間銀行との関係で、金利等々の条件面で極端な関係になる、市場をゆがめたりするということにはそもそもなり得ない、そういう財務構造になっているということもあわせて申し上げたいと思います。

ただ、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いずれにしても、民業圧迫というものは厳に回避をする必要がございますので、先ほど来申し上げているようなさまざまな検証する仕組み、あるいは民間金融機関との意見交換といったような対応策につきましては、きちっと講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

北川政府参考人

お答え申し上げます。

商工中金についてのお問い合わせでございます。

商工中金におけます民業圧迫、どういうことがあり得るかということでございますが、例えば金利等において、委員御指摘のように、有利な条件で融資したりするというようなことで金融機関の業務を妨げることが考えられるところでございますけれども、現在、私どもといたしましては、商工中金におきまして、全体としてはそのような民業圧迫の状況にはないというふうに認識をしております。

具体的に、三点ほど申し上げたいと存じます。

第一に、融資先のうち九六・六%がほかの民間金融機関との協調融資となってございまして、その前提といたしまして、毎年度の取締役会におきまして地域金融機関との連携、協調を経営方針として決定し、徹底するようにしております。

第二でございます。民間金融機関におけます対応が現時点において事実上困難である危機対応、具体的には大規模な景気変動あるいは自然災害、こういった際の危機対応業務を担っておりますけれども、この結果、商工中金の融資先のうち約三〇%が要注意先となっておりますが、これは有力地銀の約三倍という水準になっているところでございます。

第三に、危機対応業務以外を含めましても、民間金融機関との新規貸出金利を比較いたしますと、平成二十年度から平成二十六年度二月までの平均でございます、例えば貸出期間が一年以上の平均金利、これは国内銀行では約一・二%となっておりますが、商工中金では約一・七%と高いものになっております。

このようなことから、商工中金が民間金融機関の業務を圧迫しているわけではないというふうに考えております。

なお、現在御提案申し上げております商工中金法の改正案では、附則におきまして、商工中金は他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないとしております。

どうしてそういうことを申し上げているかと申しますと、商工中金の場合、資金調達のほぼ半分が市中からの債券調達ということになっております。残り半分が預金ということでございますので、その際に、政府が株式を持っていることによりまして有利な資金調達ができるのではないか、そういうような考え方も一方にありますので、改めて、そのような民業圧迫の蓋然性を高めることのないようにあえて法律で書いている、こういうことでございます。

伊東(信)委員

ありがとうございます。

わからないことはないんですけれども、先ほどの私の事例なんですけれども、たまたま一人の経営者から話を聞いてそれをお話ししているということではないんですね。金利におきまして、やはり商工中金の優位さというのはあると思うんです。

では、この経営者の事例というのは民業圧迫というのに果たして該当しているのかどうか、その感想を政府から聞かせていただきたいんです。

北川政府参考人

お答えいたします。

今御指摘がありました金利が著しく安いということでございますが、ほかの経営状況もいろいろあると思いますので、直ちにそれだけをもって一概に、今ここでそれは民業圧迫ですというふうなことはなかなか判断しにくいのではないかと思います。

伊東(信)委員

それは、一事例を捉えて、これはそうです、これは民業圧迫ですとなかなか言いがたいとは思うんですけれども、こういった事例もあったりするということなんです。

このことに関して大臣には通告していないんですけれども、同じく麻生大臣にも、現実の商工中金の話も踏まえて、この民業圧迫の現実、経営者として感じていることなんですけれども、何か感想をいただければと思うんです。

麻生国務大臣

商工中金、中小企業金融公庫、政投銀、いろいろありますけれども、経産省所管の商工中金、中小企業金融公庫等々は主に、名のとおり、中小零細企業の対象が大きいと思っております。傍ら、政投銀の方は対象にしておりますものが、先ほど言われましたようにいわゆる非常時に当たってのとかいうような、本来の目的がかなり違っていると思っておりますので、民業圧迫というような話で、今先生が言われたような、小さなところの企業の現実性を帯びてくるのはむしろ商工中金、中小企業金融公庫の方がそういった確率は高いというような気がします。

いずれも、金利も今、たしか民間より高くなっていませんかね。中小企業金融公庫は〇・一か二か高いと思いますので、そういった意味で、いわゆる金利を安くして民業圧迫というような昔よく言われた話は今は聞きませんし、そういった意識も今はないと思っております。

伊東(信)委員

通告がなかったのにもかかわらず丁寧にお答えいただいて、ありがとうございます。

金利に関しては、現状はそうでありますけれども、そういった事例もあったということで捉えていただければありがたいと思うんです。

繰り返しになりますけれども、政府系の金融機関の重要性というのは十分認識しております。完全民営化の時期が示されていない、天下りが広がる、本来ならば退出すべき企業への支援が続くなど、本改正案には議論すべきことがあるんですけれども、何よりも私が重視しているのは、結果として民業圧迫があってはいけないということです。

ですので、現状がどうのとかいうよりも、きちんと民業圧迫の検証機関を設けチェック機能を働かせ、そして政投銀と商工中金は民間金融機関をまさに、先ほどから補完という言葉をおっしゃっていただいていますけれども、補完するという立場を徹底して、市場規律の尊重そして民間金融機関とのリスクシェアをきちんとすべきだということを強く訴えまして、本日の質疑を終了させていただきます。

ありがとうございます。