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2016/03/14

第190回国会 平成28年2月9日予算委員会議事録

いとうが大臣に問う!

議事録より

○伊東(信)委員

おおさか維新の会の伊東信久です。本日はよろしくお願いいたします。

さて、本日は、先日、我が党の下地政調会長が質問をさせていただいた子宮頸がんについて、まずは引き続き厚生労働大臣の見解をお伺いしたいと思うんです。

子宮頸がんの推定の罹患数の推移を見ますと、二〇〇二年には一万五千五百十三人、これが二〇一一年には三万二千四百三人と、二倍以上ふえています。このような状況の中、前回の下地政調会長の質問にもありましたけれども、HPVワクチンの実施率が低迷しているのは、HPVワクチンの副反応、この恐怖感が社会から消えていないことだと思います。

まずは極めて基本的な質問なんですけれども、HPVワクチンの副反応に長期にわたり苦しんでいる方がおられるんですけれども、この副反応の原因究明の進捗状況、原因究明というのは果たしてできているのでしょうか。厚生労働大臣にお伺いいたします。

○塩崎国務大臣 まず第一に、このHPVワクチンの接種の後に出てきた症状については、副反応疑い事例と我々は呼んでいます。いわゆる有害事象というふうに言われているものでありますが、これについて、長期に苦しんでおられる方がたくさんおられたということについては非常に心を痛めておりまして、我々としては、できる限り寄り添いながらこの支援を行っていきたいと考えております。

今、その原因のお話でございますけれども、厚労省において、平成二十六年十一月までにHPVワクチン接種後の副反応疑いの報告があった二千五百八十四人に対して、実態を把握し、支援につなげるためにその後の状況を追跡調査し、昨年九月に調査結果を発表したところでございます。この結果、今でもなおさまざまな症状で苦しんでいる方が百八十六名おられるということがわかったところでございまして、日常生活や学校生活に悩みを抱えているという実情も同時に明らかになってまいりました。

こういうことで、その実情を踏まえて、厚生労働省としては、昨年九月に審議会を開催いたしまして、まず第一に、既にある予防接種法、PMDA法に基づいて、従来からの救済制度を使って速やかに救済を行う。それから、医療的な支援の充実をしっかりと行っていく。そして三番目に、学校など生活面の支援の強化等の方針を打ち出して、それに基づいて対応を進めているところでございます。

お尋ねの、接種後に生じた痛みや運動障害等の病態や治療法については、平成二十五年度から厚生労働科学研究班において研究を行っているところでございまして、その研究成果については、本年三月に、二カ月後でございますけれども、全国の医療機関に提供し、患者の診療に活用いただけることになるのではないかというふうに考えております。

さらに、私どもとしては、接種をした人とされなかった人との間でこのような症状が出ている確率がどうなのかということを、いわゆる疫学研究でしっかりと調べるということが大事で、海外ではこういう疫学研究は大変進んでいて、すぐにわかることでありますけれども、我が国ではこれがやってきていることではないものですから、今、疫学研究をしっかりやりながら、このワクチンとの因果関係について疫学的究明をしていこうと思っております。

いずれにしても、患者の方々の声にしっかりと耳を傾けて、寄り添いながら必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

○伊東(信)委員 私の質問の内容は、原因究明はできているのでしょうかという質問でして、前回の下地議員の質問に対する答弁と半分以上かぶっていましたので、それは議事録を見ればわかることなんですけれども。

一つ気になることで、確認です。ワクチンの副反応を認めてくださいという趣旨じゃないので、確認なんですけれども、副反応疑い事例ということは、まだ因果関係がはっきりしていない、そういう解釈でよろしいわけでしょうか。

○塩崎国務大臣 そのとおりでございまして、九月の審議会でも、疑い事例ということで、この二千五百八十四名の方々についての報告をさせていただいたわけであります。

その原因が明らかでないがゆえに疫学研究を科学できちっとやって、これが本当にワクチン由来の症状なのかどうかということを、打った人と打っていない人とを比較して、究明をしていこうということを考えているわけでございまして、やはりワクチン行政としては、その原因を明らかにしていくということをやることが大事だというふうに思っております。

○伊東(信)委員 この原因の究明をしていただきたいわけなんですけれども、実際、不定愁訴、決まった痛みが特定されない患者さんもおられれば、決まった痛みが出ている方もおられて、本当にさまざまな事例もあれば、軽症、重症という方もおられるんです。百八十六名の方を把握されていましたけれども、その方は恐らく重症な患者さんの事例だと思うんです。この痛みに対する症状、複合疼痛症候群と言われたりとか、反射性交感神経ジストロフィー、RSDと呼ばれたり、いろいろあるわけなんです。

実は、十年以上、二十年ぐらい前なんですけれども、たかだかという言い方をしたら患者さんに失礼なんですけれども、うおのめを取っただけで同じような、RSDと診断された患者さんを私は見たことがあるんです。うおのめなので、引き続き皮膚科とか形成外科とか受診されたわけなんですけれども、現実、今苦しまれている患者さんがおられるわけなんですね。

では、このHPVワクチンの副反応とされる症状が出た場合、何科を受診するべきなのか。副反応に対応できる医療機関及び個別の医師の把握を厚生労働省としてされているんでしょうか。現状をお聞かせください。

○福島政府参考人 お答えいたします。

HPVワクチン接種後に生じた症状の方々に対して、現場の医療機関、対応できる医療機関というものを提供することが大変重要でございまして、私ども、各都道府県に一カ所以上の協力医療機関を整備しておりまして、その当該医療機関の医師に対する研修会の実施等を行っております。

加えて、協力医療機関と連携して積極的な診療を行う医療機関を受診する方へのフォローアップ体制についても積極的に取り組んでいるところでございます。

○伊東(信)委員 お聞きしたのは、何科を受診したらいいんですかという話でして、協力医療機関というのは何科なんでしょうかね。疼痛なのでペインクリニックなのでしょうか。それとも、子宮頸がんなので婦人科なのでしょうか。お答えください。

福島政府参考人 これは症状によりまして受診される診療科はさまざまでございますけれども、それぞれ、いろいろな診療科を受診された場合に、その診療科が協力してやっております。

例えば研究班、愛知医大等では、いろいろな診療科が連携してやっておる、そういうことでございます。

○伊東(信)委員 質問の中で、医療機関及び医師の把握、その専門の医師を、厚労省としては、この先生、この先生、この先生がいるということを把握されているんでしょうか。それをもう一つ、ちょっと確認させていただきたいんですけれども。

○福島政府参考人 お答えいたします。

私ども、研究班、厚生労働科学研究、二班を走らせておりまして、研究班に属するそれぞれの医療機関、どの先生方が担当をしていらっしゃるかというのは把握しております。

○伊東(信)委員 特に追い詰めるつもりもないんですが、医師が特定されていないと私自身はお聞きしていたので。まあ、それはもういいです。

そもそも、ワクチン接種前に、副反応が出た場合に何科を受診されたらいいとかいうそういった、ワクチン対象者に対して、十三歳から十九歳の女性の方が受けるわけなんですけれども、現実、保護者が必要性を感じなければ、こういったワクチン接種というのは進まないと思うんですね。だけれども、今のような、私に言わせればあやふやな、起こってしまったことに対するきちっとした検証が、スピード感がない。三月はやはり遅いのではないかということなんですね。

一方で、これはHPVに感染するのを防ぐワクチンであるんですけれども、現実、今感染されている働き世代、現役世代の女性の方、がんの予防として必要なのはよくわかりますので、では、このHPV感染者がどのくらい子宮頸がんになる可能性があるのか、お教えください。

○福島政府参考人 現在のところ、どれくらい移行するかということについては明確にはわかっておりません。

○伊東(信)委員 そうですね。すぐに子宮頸がんになるわけじゃないので、まずは前がん状態になるわけですね。では、感染から前がんになる割合、潜在的にがんになる可能性というのをお聞きしようと思ったんですけれども、多分、把握されていないというふうになると思うので、そのことは省きます。

では、前がん状態の間に、早期発見、早期予防ということで、二つなんです。私自身、超党派の、乳がんとか子宮頸がんの検診の推進議連の副会長をさせていただいているので、この子宮頸がん検診というのもやはり両建てで大事だと思っています。

さて、具体的な検診内容なんですけれども、職場での健康診断のオプションで受診する場合、御自身で綿棒で細胞をとり、検診機関に提出するだけだと聞いておるんですけれども、医療従事者が採取から対応しなければ、やはり正確な検診結果など期待できないのではないかと危惧しているわけです。そのあたりの問題意識、今後、ガイドラインの制定など、検診結果の正確さの向上について対策というのはお考えでしょうか。

○塩崎国務大臣 子宮頸がん検診の際のやり方についての御指摘が今ございました。

この細胞診の採取方法につきましては、厚生労働省の指針があります。これに基づいて、子宮頸部の全面から、全体ですね、綿棒などでこすって細胞を採取するということになっていまして、この検査は、通常、直接目で目視しながら、確認しながら医師等が細胞を採取することを前提としてこの指針はできておるわけであります。

したがって、今お話がありましたように、一部自己採取による子宮頸がん検診が実施されているということが実際あるようでございまして、この方法では、子宮頸がんがある場合でもがん細胞が採取されないことが報告をされております。

したがって、そういったやり方は検診方法としてふさわしくないというふうに考えているわけでございまして、昨年末に、厚生労働省が中心となってがん対策加速化プランというのをつくりました。その中で、検査方法を含めて指針を策定するということにしております。

今後、専門家の御意見もしっかりと聞きながら、必要に応じて、今御指摘の点についても指針に反映をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○伊東(信)委員 ありがとうございます。

今の御答弁、非常に満足いたしました。綿棒では十分ではないとおっしゃっていただいたのは、議連に携わる者としてありがたい御答弁だったと思います。

ただ、大臣、子宮頸がん検診の結果票というのはごらんになったことがあるでしょうか。医療関係者でなければ非常にわかりにくい表現になっています。検診結果のクラス分けの根拠とか、厚生労働省として、クラス分けの結果、緊急性の度合い、段階を定めているのかだけ、厚生労働省にまず教えていただきたいと思います。

○福島政府参考人 子宮がん検診結果のクラス分けでございますけれども、これはベセスダシステムというものを採用しております。このうち、要精密検査、その後すぐに生検あるいはコルポスコピーをやっていただく必要があるものと、それから、その後、例えばHPV検査の判定が望ましいけれども陰性の場合は一年後とか、あるいは、それをやらない場合には六カ月以内に細胞診をやるというような、幾つかの、細胞の状態に応じて全体としては三段階に分けて運用しております。

○伊東(信)委員 検査結果が出て、よくわからない、不安だと、それで、専門の医療機関に行く前に気軽に聞けるかかりつけ医のような制度もやはり必要ではないかなと常々思っているんですけれども、そういったかかりつけ医、地域の医療に関連して、今度はちょっと遠隔診療ということについてお聞きしたいと思います。

昨年の夏に、局長通知で医師法第二十条の遠隔診療についての考え方が出されました。この解釈というのが明確でない場合もありまして現場で混乱が生じているんですけれども、解釈について明確化する方針があるのか、もしくは、ガイドラインを策定するだけでは不十分なので、法改正、基本法の制定とか、そういった検討はされているのでしょうか。お教えください。

○塩崎国務大臣 先生御指摘のように、確かに、この遠隔診療というのが本当にできるのかというようなことを時々やはり聞かれるわけでありまして、この解釈の明確化という御質問は、そういう意味で意味のある御質問ではないかと思っております。

厚労省としては、診療は直接の対面で行うというのを基本としつつ、近年の情報通信機器の発達、普及の状況を踏まえて、医師の判断のもとで直接の対面診療と組み合わせた適切な遠隔診療が行われるように、平成九年以降、随時その取り扱いについて明確化を行ってきたところでございまして、今後とも、適切な医療の提供と患者の利便性を総合的に勘案しながら、情報通信機器の開発、普及の状況を踏まえて、必要に応じて遠隔診療の取り扱いの明確化に努めてまいりたいと思っております。

昨年八月の事務連絡、ここで、遠隔診療によっても差し支えない場合として示している離島とか僻地の患者、あるいは在宅診療を受けている患者はあくまで例示であって、今後、これをどう皆さんに御理解いただけるようにするかということを考える。それから、診療は医師と患者が直接対面をして行われることが基本だということは変わらないわけであって、しかし、必ずしも直接の対面診療を行った上で遠隔診療を行わなければならないものではないということを明確化したところでございますが、なおその考え方を明確にするということに私どもとしても心を砕いてまいりたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 電話診察という延長で、現在はスマホなどの端末を利用した診療がその局長通知でできるようになっているんですけれども、スマホなどを利用した診療というのは、先日も、ポケットドクターというスマホなどの端末を利用したアプリなども開発されたんですけれども、この遠隔医療にはやはり無限の可能性があります。通信技術も飛躍的に向上いたしまして、画像の解析技術も世界水準から見ても非常に高い評価を得ている日本において、本当にアベノミクスの成長戦略に私はそぐっているんじゃないかと野党ながら思っています。

遠隔医療の規制緩和が進まないのは、残念ながら、省庁間の連携がうまくいっていないからではないかと考えておる次第です。連携を検討していく中で弊害がないのか、通信に関して所轄である総務大臣にまずお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 伊東先生が医師でいらっしゃる中で遠隔医療に対して大変前向きなお考えをお持ちのこと、うれしく存じます。

第一次安倍内閣のとき、イノベーション、科学技術担当大臣として遠隔医療を打ち出しましたときには医師会から大変お叱りもいただいたところでございますが、今、ICT技術も進んできております。

厚労省との連携は特に重要だと考えています。去年の六月から十一月まで、厚生労働省と共同で、クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会を開きまして、クラウド技術など最新のICTを医療分野に活用する方策について検討を行いました。

今、スマホやタブレットを活用して、医師と医師、それから医師と介護従事者の間での通信ができる、クラウドの普及も進んでいますし、いろいろな可能性が広がってまいります。

あと、8Kですね。8Kを活用して、手術中に遠隔で病理診断をしてもらったり、それから先ほど来出ています離島や僻地での診断にも使えると思いますが、やはり技術的に、大容量の画像を送っちゃうという場合に遅延が生じたり、あと、色が正確に出るかどうか、こういった問題もございますので、二十八年度の政府予算に、遠隔医療に必要なセキュリティー水準も含めて技術的要件の実証を行うべく、予算案に盛り込ませていただいております。

今後、しっかり厚労省初め関係省と連携をしてまいります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

時間もあれなので、経産大臣、成長戦略になり得ると私は認識しているんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

○林国務大臣 ITを活用した遠隔診療は大変大事なことだと思っておりまして、近年、民間事業者が遠隔診療に資するサービスを開始する場合のグレーゾーン解消制度に関する問い合わせも大変増加しておりまして、厚労省等の関係省庁と連携して、グレーゾーン解消制度の活用などにより、対応を進めていきたいと考えております。

経産省としても、ITを活用した診療支援技術の開発にも取り組んでおりまして、厚労省とも連携しつつ、さらに取り組みを進めていきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

最後に、三重県の名張市、名張もみじ山荘で、診断せずに死亡診断書を出した嘱託医が書類送検された記事を目にしました。もう時間になったので答弁は結構です。こういったことも、遠隔診療もしくは、みとりができる国の資格を持った認定看護師が訪問看護をすれば解決するところもあるので、最後、提言で終わらせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

○竹下委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。